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Interview vol.1
高城剛×竹下雄真

自分を理想のゴールに立たせて
過去形でイメージしていく

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高城 剛(たかしろ・つよし): 1964年東京・葛飾柴又生まれ。日大芸術学部在学中に「東京国際ビデオビエンナーレ」グランプリ受賞後、メディアを超えて横断的に活動。主な映像作品に「evrybody goes-秩序のない現代にドロップキック/Mr.Children」、「あなたに会えてよかった/小泉今日子」、連続テレビドラマに「バナナチップスラブ」。主な音楽活動として、2005年英国ベストトラックの「Most precious love/Blaze/DJ takashiro mix」、近年は、DJ/リミキサーとしても国際的に活躍。総務省情報通信審議会専門委員など公職歴任。2008年より、拠点を欧州へ移し活動。現在、コミュニケーション戦略と次世代テクノロジーを専門に、創造産業全般にわたって活躍。『私の名前は高城剛。住所不定、職業不明。』『時代を生きる』(マガジンハウス刊)、『モノを捨てよ世界へ出よう』(宝島社刊)ほか、著書多数。

――― 書籍『身体の再起動』(マガジンハウス刊)の中で、高城さんと竹下さんが、トレーニングをはじめとした、さまざまなお話をされていらっしゃいます。そもそも、この本を書かれるきっかけは、何だったのですか?

高城剛さん(以下:高城)
「誰しも、人生には、いろいろなタイミングがあると思いますが、2011年に起きた311の出来事は、僕にとっても、もちろん多くの人々にとっても、自分の人生を振り返るタイミングだったのではないでしょうか。社会も自分もこのままでいいのだろうかと、数か月くらいの間、考えたことと思います。震災による厳しい映像を見ると、人間の本能からでしょうか、身体がカロリーを貯めこみました。かなり太ったその頃、ちょうど彼から、ジムを始める案内をもらい、すぐさま連絡したのです。

デポルターレで身体測定をすると、かなり脂肪を貯め込み、自分が思っている以上に太っていることに驚きました。その時、身体と同じように、考え方や生き方もシェイプしないと次の世界にいけないのではないかという想いに駆られたのを憶えています。では、どうやれば、身体をシェイプできるのだろうかを考えはじめたのが、この本をかくきっかけです。

彼から聞いた、すごく印象的な言葉がありました。
「結婚式前の花嫁は必ず痩せます。でも、嫌々やらされている人は痩せません」

ゴールのイメージを、どうやればトレーナーと共有できるのか。それは、花嫁もアスリートも一緒です。きっと、世の中に山とあるダイエット本には書かれていない、何か重要なことが発見できるのではないか。
トレーニングではトレーナーと、また、ビジネスでは上司と、お互いが共有できるイメージをつくるために、どうしたらいいかを掘り下げたいと思ったのです」。

竹下雄真(以下:竹下)
「花嫁は、絶対に痩せます。同様に、高城さんのようなクリエイティブな方や、いわゆる世の中で成功していらっしゃる経営者の方は、トレーニングでも必ず成功します。そこに何か共通点があるのではないかと、僕も感じていました。おそらく、『自分がこうなる』というイメージが強く持てるのではないでしょうか。

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高城
「ところで、意識って、どうしたら高くできるのだろう。トレーニング前に意識を高くできたら、もっと効果が出るんじゃないかと思うけれど」

竹下
「デポルターレの場合は、トレーナーがクライアントの方と目的・目標を共有し一緒に取り組みます。自分一人だと結構簡単に理由をつけてあきらめてしまうけど、トレーナーと約束をしているので、頑張れるのだと思います。それと、高城さんからさまざまなアドバイスをいただいたり、僕自身も、早稲田大学大学院でスポーツマネジメントを学んだ経験から感じるのは、『いつ、どうなっている』という具体的なイメージをされている方の方が結果が出やすいです」

高城
「僕だけの特別な例かもしれないけれど、意識を高めようとは思わず、余計なノイズを取り除くことに注力するようにしています。人間は、基本的に前に進むようにできているから、とにかく進むことだけ考えて、余計なことを落としていく。例えるなら、ノイズを取っていくというか・・・。時には、瞑想などを取り入れながら、ノイズを取ることに力を入れてますね。でないと、頑張ることは、長期的には持続できない気がするのです。いってみれば、身体の脂肪も身体のノイズだから、脳も身体も同じ行為をしている。こうした日常的な思考のノイズをどう取るについては、現代社会において、最大の問題だと思う」

竹下
「そうですね。うちのジムに通うプロ野球選手の方で、去年はほぼ二軍、最後に少し一軍に昇格した選手がいらっしゃいました。彼と僕らが共有した目的は、開幕一軍で、正捕手になり、スタメンで出ること。それに向かって共に頑張ってきたかいがあり、オープン戦も、紅白戦も結果を出し、開幕スタメンを取ることができました。
しかし、そこにゴールを持ったため、その後、控えだったり、打率もイマイチだったりで、今、もう一度、彼とイメージをつくり直しているところです。開幕スタメンをゴールにするのではなく、常にイメージを刷新し、持続していく力がとても重要だと感じています。

高城さんのイメージ発想法は、イメージを思い出していくんですよね。通過点としてイメージするから、持続力が落ちにくい」

高城
「ええ。僕のイメージの作り方は、一般的にはポジティブといわれるものですが、それとも、ちょっと違うかも。とにかく、過去形でイメージします。例えば、春のオープン戦よりも、夏のオールスター戦に出ているイメージをしたり、あるいは、今年は頑張った年だったなあと正月の休暇をイメージする。要するに、自分を理想のゴールに立たせて、過去形でイメージしていくのです。

僕の場合は、バケーションを楽しんでいる自分が、「ああ、あの時は大変だった」と折り返すようなイメージで、営業している今がある。そのときに、折り返せないイメージだとしたら、そこには無理がある。また、すべてが過去形になっているから、常に、イメージを更新できて、ある意味、ラクなんです。常にいろんなものを、過去形で考えている」

竹下
「これ、第二弾の本の内容として、決まりですね(笑)。
選手としては、開幕スタメンを取れたことで喜んでいたけれど、その先の目標がつかみ切れなかった。活躍した選手として、WBCへの参加をイメージしていたら、きっと今とは違う結果が出ていたかもしれません」

高城
「常に過去形で考えて、イメージも刷新していくのが重要です。これからのトレーナーは、フィジカルとメンタルの両方が重要で、いわば、総合コンサルタント。昔から、武道は、お寺の和尚のようなメンタル面の師匠と、剣豪の師匠と二人いた。あらゆる面で、現代のお寺みたいな関係にもなっていくのでは」

竹下
「そういえば、ちょうど今日、デポルターレのチーフトレーナーの三浦は、お寺に修行に出ています。人として生きている限り、何かしら問題は起きます。そのとき、すぐに心が折れてしまうのか、成し遂げたいことのために、何か方法を探し、それでも進んでいくのか。自分を差し置き、まわりの問題へとすり替え、諦めてしまうのではなく、問題のとらえ方次第で、取り組み方も変わります」

高城
「その通りだね」

竹下
「デポルターレのスタッフが修行をするお寺のお坊さんは、とてもいい方です。そもそもお寺は、葬式屋ではないという考え方。本来は、困っている方がお茶を飲みながら話をしにくる場所こそがお寺で、住職は自分の意見を言うのではなく、3000年前から伝わる話を、現代風に置き換えて伝えてくださる。それが坊主の役目だと心得ているとおっしゃいます。トレーナーとして、我々もそういう境地になれればと思い、修行しています」

高城
「いいね。メンタルも、フィジカルと同時に育てていく。トレーナーも、アスリートも、ビジネスマンも、身体と共に心も鍛えたい。そのためには、巨大なコンビニエンス式ではない。パーソナルに、人となりを知ることで、食生活やライフスタイルも含め、ひとりひとりに目が届く指導が必要」

竹下
「ええ。入会人数の制限をさせていただいているのは、そのためです。以前、クラブ会員が何千人もいる中で、トレーナーをしていたときは、個々人の処方が行き届かず、正直、違和感を感じていました。今は、毎週のMTGで、全スタッフが、会員情報を常に共有できるスタイルを維持しています」

高城
「いいお店って、8割が常連なんだよね。常連が左利きなのを知っているからナイフの置き方も心得ている。好き嫌いも把握した料理を出せる。だから、お客も通う。不特定多数が来店する店とは、考え方、サービス、コストなど、全てが違う。
日本も、パーソナルジムが発足して約16年位経って、ようやく、ブティックスタイルが登場し始めたので、期待しています。長くお付き合いしたいですし・・・。
いやー、僕より若いトレーナーがいないと困るんです。最近、僕が20年近く通っていた針の先生が引退してしまい、困りました。幸い、デポルターレでは、若い力が頑張っているので、個人的にも期待しています」

―――過去から振り返って、ご自分をイメージされる部分について、もう少し詳しく・・・。

高城
「なんとなくですが、その方がうまくいくし、気持ちいいし、あっている気がします。なぜなら、時間は刻々と進んでいるのに、ゴールイメージを固定してしまうと、イメージも止まってしまうのではないかと。しかし、イメージを連続して、とらえられるのであれば、常にゴールイメージが刷新され、気持ちを継続させていくことに無理がない。夏のバケーションをイメージしながら、春の仕事をするように、昔から僕の頭はそうなっている。うまく言えないけれど(笑)。どうも、考え方が人とは違うんじゃないかと、最近考えるんだよね・・・」

―――目標をイメージするために、余分なものを、そぎ落としていくということは?

高城
「あらゆる情報を落としていこうとしています。テレビも見ない。その分、必要な情報は、出会うと思っているからです。だから、気にしているのは、となりのおじさんが話していることや、地下鉄に乗っているときに、自分の目の前に座っている人が読んでいる記事だったり、それがとても必要なもの。
だから、自分で動く。昨日、北京から帰ってきたばかりですが、北京で、今年はこうなると皆が話していたことは、とても重要。でも、新聞にも載っていない。それが、僕にとっての世界。大新聞の一面といえども、僕の生の情報に比べれば重要ではないといえます。
本当に必要なことは、誰かが教えてくれるから。
最近の入れ墨問題だって、入れ墨を入れることよりも、それを子供に見せたりする行為が問題なのであって、世の中は、そういうどうでもいいことで溢れている。それよりも、誰かと面と向かって話している内容の方が重要だと思う。

実は、この本に書いたことも、もはや情報としてとらえると重要ではない。けれど、自分が常日頃、思っていることのそのままを書いているから、同じことが話せる。つまり、僕の考えるそれ以上でも以下でもない。
情報よりも重要なのは、"考え方"や"とらえ方"だと思う。湯飲みに入ったお茶を、お茶とみるのか、温かい飲み物と見るのか、器と見るのか。湯飲みそのものに特別な情報は無く、それをどうとらえるか。あらゆるものは、良くも悪くもとらえられるから、常に、とらえ方を磨いているだけ」

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―――"考え方"と"とらえ方"という観点から、身体のケアの仕方を見ると・・・?

竹下
「僕はずっと、身体をつくる仕事をしているので、ある意味、自分をテストケースにして、新しいトレーニングやサプリメントを試しています。特に、健康については、人それぞれとらえ方が異なり、体重が基軸となる方や、ジーンズをはいた感じが大切な方もいらっしゃいますし、ある方は、煙草を吸って美味しいと感じるか、まずいと思うのかが、健康のバロメータだと。その方が、健康をどういう風にとらえているのかを理解し、健康法を提案するのが、僕らの役割だと思います」

高城
「僕はね、極端かもしれないけれど、アスリートが頑張っている姿を見て、『この人、クマと戦ったら勝てるのかな』って思う。そこから、クマとこの人の違いはなんだろうって考え、クマは、本能的に相手をぶつだけだけれど、人間は身体を鍛えている。だとすると、人間がクマに勝つための最大の障害は、考えることなんじゃないだろうか・・・。
人間は、頭を使うから心が折れる。けれど、クマは心が折れたりしない。ボディは、両者にもある。人間にあって、動物(クマ)に無いのは魂なんじゃないだろうか。

実は、人間には、進むべき方向性が、あらかじめプログラムされていて、考えてはいないけれど、それを、心が邪魔をするのでは。例えば、魂と心だけであれば、真っ直ぐに進むところを、心があるゆえに、太ったり、揺れたりして、魂の存在を邪魔しているのではないだろうか。

"心"と"魂"と"身体"は常に三角関係で、本来の考え方や人間としての生きる力を、お寺でいうところの"無心"になることで、それぞれが強めあっているのではないか。免疫力があるから、多少の怪我でも生きていける。"身体""免疫力""魂"だけだと強いけれど、"心"が常に邪魔をする。本来の"魂"や"身体"になるために、"無心"になることが重要じゃないか。
トレーニングをしている方を見ると、"無心"になっている。"身体"と"魂"が、良い状態で動いているときに、アスリートが強烈なイマジネーションを持てたとするならば、すごく強いよね。現代社会は、すべて、そこがポイントかもしれない。もっと分かりやすく言うと、好きなことに打ち込むこと。考えないこと。

話しは飛ぶけど(笑)、僕は、銀座線が好きで、先日、レトロ調の銀座線が走っていたときに、日本にいるのも少ないし、この機会に、どうしても古い車体の写真が撮りたくて、会議に遅れました(苦笑)。相手先に「すいません、後、三台待つので、打合せに遅れます」って伝えたら、「どうぞ、心ゆくまで撮ってください」って爆笑していた。そのときの自分は、"無心"だった。

ビジネスマンとしては落第かもしれないけれど、こういうことが、日常的にどれくらいあるかが大切。"無心"になってトレーニングにいくとうまくいくと思う。ノイズを取って、"無心"になり、時間を忘れるくらい没頭する。ある意味、これがあらゆることの成功の秘密。結果的に、仕事も身体も鍛えるために、"魂"を磨くことは、現代社会において、すべて同じ気がする。好きなことをやり続けるしかないと思う。

竹下さんに「高城さん、ウエイト好きですか?」って聞かれて、「好きだよ」って答えたけれど、好きなんですよ、ウエイト。僕にとって、イメージが見えるから。ゴールがあって、そこに向かっていくから好きなんです。嫌いだったらやらないと思う。美味しいものを食べるのが好きでもいいし、とにかく好きなことを増やすことが重要で、好きなことが増えると、いやなことも好きに転化することができる。今までトレーニングが嫌いだったとしても、好きになる。例えば、女の子が好きになると、月曜日の朝の風景もバラ色に見えるわけじゃないですか。好きなことが増えると、世の中が変わるじゃない」

―――"無心"になるために、瞑想もしていらっしゃるとか。

高城
「ええ。僕は、自分を使って実験するのが好きで、自分の経験でしかモノを語れないと思っているから。初めて、竹下さんにお会いしたのが10年前で、5年間ほどついてもらい、その後、ヨーロッパに転出しました。ヨーロッパでは、イメージを作るのに、トレーニング前に瞑想を取り入れ、20〜30分瞑想でイメージしてから、トレーニングしました。すると、とても効果的だった。有酸素運動と無酸素運動だけでなく、瞑想がよかったと思う」

竹下
「イメージをしっかりと持つことは、ボディビルの世界でもよくやっていて、例えば、胸部を鍛えるときは、ゴリラになったように、腹部は、ムカデのようにイメージします。
他にも、マイナスのことを口にしないこと、「苦しそう」ではなく、「やりがいあるね」といいながらトレーニングに入ったり、意識的にしています」

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高城
「そうなんだ。以前、グラビアアイドルと話しているときに、『撮影が近くなると、腹筋が割れ始める』って話していた。モーゼのようだけど(笑)、あながち、うそじゃないと思う。見られることに慣れている人は、きっと、イメージを具現化していくことができるんだろう」

竹下
「しかし、トレーニングに入ってからの高城さんは、普通じゃなかったです。以前、高城さんの40歳の誕生日にウエイトトレーニング用のベルトを、名前と年齢の『40』を入れてプレゼントしました。久しぶりにトレーニングされる際に、お持ちになられましたが、全く入らなかった。ウエスト周りが、数十センチくらい変わっていた。でも、今では、ピーク時よりもずっと良くなっている。たぶん、普通じゃないイメージ力が、あったんだと思います」

高城
「自分の身体をつくっているのは自分で、それは頭だから。ノイズがなければ、うまくいきますよ」

竹下
「それだけの期間で、体脂肪が半分まで落ちる方は、ほとんどいらっしゃらないかと」

高城
「マジメだから、いわれたことはその通りにやるから」

竹下
「はい。全然、ノイズがありませんでした。僕は、高城さんよりも心が弱いので、美味しいものを食べにいこうと誘われると、鳥のささ身を食べようとしている日でも、誘われた方に、つい行ってしまうこともあります。高城さんは、ある意味、クマと同じで、『鮭しか、食べない』と決めると、ずっと鮭を食べていられる。なかなかできることではない。もともと、ご自分がお持ちの精神力を、常に鍛えていらっしゃるのでは」

高城
「ノイズで、惑わされないこと」

―――今と比べて、学生時代は帰宅部で、社会人になってからもジャンクフードも食べていたとか。ご自身が変化したきっかけはなんだと思われますか?

高城
「大きな視点から語ると、人類において、20世紀はモノを貯め込む時代でした。19世紀は、一部の王族以外は、全員、貧しかった。20世紀は、みんなが豊かになっていった。僕も、高度経済成長の中で育ち、子供のころから、テレビ、玩具、お子様ランチなどの外食もなんでもあった。大学時代から海外に出ると、なんでも買いたい放題で、モノを貯め込みました。しかし、アメリカの911の時に、このままではいかん、世の中、間違えている、と感じた。使わないモノを山のように貯め込んで、ふと見ると、自分の身体も太っている。そこで、イマジネーションをパッと変えた。普通は、そこから苦しむものですが、僕は、割と普段からすぐに切り替えられます。意志が強いというのではなく、考え方を変えられるとでもいうのかな。食事内容も、がらりと変えました」

―――食事内容も、健康のための重要な要素です。普段から、気をつけていることは?

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竹下
「食べることは、人間の根幹を作ることなので、実は、トレーニングよりも重要だと思います。良いモノだけ、美味しく、気持ちよく食べていれば、そもそも身体なんか太らないと思う。食べ過ぎた時は、後で、帳尻を合わせるだけで、単純な話です。
ただし、カツ丼のカロリーを、運動で消費しようとすると、かなり長時間、運動しなくてはならない。ダイエットのために、手っ取り早いのは、食べ物のカロリー量と、加齢で代謝が落ちていくことを考慮した運動量とのバランスです。

運動と食事と、どちらが大事かというと、痩せるとか、健康については、間違えなく食事でしょう。いくら運動している方でも、ジャンクフードを好き放題食べていれば、健康というにはかなり厳しいし、逆に、運動していなくても、良い身体をしている方もいる。
食事が前提ではありますが、運動はデザイン的にどういう身体にしたいかの願望を叶えるためや、筋肉をつけたいときには有効です。両方とも、楽しめるようになれば、結果もおのずと出てきます」

高城
「食べ物は、もっとも大きいノイズ。だって、身体に入ってしまうから。だから、身体にノイズの無いものを摂っている。オーガニック野菜とかだけを食べていれば、ノイズが身体に入らない。こうした食べ物を摂り始めると、人間ドックで結果が出ます。今は、食事の51%以上を玄米食に、残りの49%は玄米以外の身体にいいものを食べていますが、一時期、ほんとうに、玄米にごま塩だけかけて、それだけ食べていたことがあります。ノイズがないから、すごく調子がよかった。特に、僕は、玄米を発芽させているから、生命力に溢れていて、とってもいい。
いつも、バカみたいに、日本中の米屋に行きます。この間は、沖縄で、いい米屋を見つけた(笑)。実は、親父さんが仙台で米屋をやっていて、その米を沖縄で販売しているらしい。いい米屋でしたよ(笑)。食事の49%は、現地の美味しいものを食べますから、沖縄では、ぶたの耳なども食べました」

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竹下
「専門的な話をすると、三大栄養素といわれる"たんぱく質""脂質""炭水化物"の割合をどう摂るかが、身体づくりの決め手となります。脂肪が多い食事の方は、ぽちゃぽちゃタイプ。糖質が多い食事の方は、パンパンに張ったイメージの身体。タンパク質が多い方は、高城さんやブルース・リーのような細身の身体に。僕らトレーナーは、ひとりひとりの目的に応じて、3つの配合をどうするかが問題で、その食事を続けていただくようにしています。ロジカルなアメリカ式の考え方です」

高城
「近代ロジックでいうと、脳内物質のセロトニンがたくさん出ているときに、脂質を入れたり、たんぱく質を入れるとどうなるかや、先に、セロトニンを出してから、ノンアドレナリンを出して、それから、人参を食べた方がいいのかなど・・・。心の持ち方や脳内物質との関係性が、これから研究されていくのだと思います。
すべては、頭の中のことで、カロリーの摂取量も脳が決めることだから、おそらく10年後くらいから、トレーニングの前に体重を測るのと同様に、脳の状況を知るようになる。今も医学と近くなっていますが、今後ますます、その流れは加速する」

竹下
「最近、自律神経が切り替わるときの食事の考え方が、取り入れられる傾向にあります。交感神経が高まっているときは、エネルギーを使うから摂る。逆に、副交感神経が優位なときは、エネルギーは必要ないから摂らない、という発想です。
「太るだろうな」と思って食べるのと、「身体に効くんだ」と思って食べるのでは、違いがあるということです。ウエイトトレーニングの後、すぐに、プロテインで、たんぱく質を摂りますが、これは、身体の筋繊維を壊しているので、たんぱく質でアミノ酸を補給する目的があります。それに加え、身体にいいと思いながら摂っているため、より効果が出ます」

―――世界中をご自分の目で見ている高城さんですが、各国でトレーニングもされていると思います。世界のトレーニングは、どうですか。

高城
「違いは、ソフトウエア。すごい器具を置いているところもあるけれど、そんなの三回で飽きるよね。メンタルも含め、どんなソフトウエアを提供するかだと思う」

竹下
「結局、人間の身体の構造が変わらないから、基本的には器具も変わらないんだと思います。あのシュワルツネッガーが、現役ボディビルダーだった頃と、ベンチプレスなんて、なんら変わってないですよ」

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高城
「変わらないよね」

竹下
「ソフトウエアという部分では、ゲイ専門のジムがNYにあります。それ、作ろうかな(笑)」

高城
「そうやって、顧客のセグメントをしたり、内装を派手にしたりするのはあるけれど、器具は、世界中同じ」

竹下
「変わりませんね。そういう意味で、僕らがリードしていると思えるのは、メンタルや食事などよりも、もっと深い考え方の部分。三大栄養素だけでなく、それが、どう作用するというところまで見ていくことで、新たな価値が出てくるのではないかと」

高城
「もっとライフスタイルに入っていく。相手の生活をしっかり理解して、その中に、溶け込んでいく。お願いしますよ、長くお付き合いしていただかないと」

竹下
「トレーニングの世界では、身体をつくることや、ダイエットなどで、テレビに出演される方も多くいらっしゃいます。方法論として、集中的に部位を鍛えたり、呼吸法など、さまざまなメソッドが登場していますが、話しは、そう単純なことではないと思うのです。人間の身体の根幹に携わっているからこそ、もっと深く、ゆるぎない取り組み方が必要だと常に考えています」

高城
「そう、やすやすと手に入るものではないと」

竹下
「トレーナーを始めて、15年以上経ちますが、トレーニングメソッドの流行の移り変わりは、いつの時代も変わりません。ああいうことではないと」

高城
「流行したメソッドは無くなっていく。ずっとやり続けている方は少ないね」

竹下
「僕達デポルターレクラブは健康・スポーツの世界で、今後も長く取り組んでいきたいと考えているので、一時的な流行ではなく、常に進化していきたいと思っています」

高城
「アジアに行くというチャンスもある」

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―――最後に、お互いへのメッセージを・・・。

高城
「時代は変わりますが、それ以上に、彼自身も、仕事も、場所も含めて、すごく進化している。大人になったから成長しているというのではなく、時代よりも早く、常に変わっている。今後ますます、世の中は変わっていくけれど、彼は、もっと変わる。手掛ける国も規模も、はやく大きく変わっていくのを、楽しみにしている」

竹下
「僕にとって、高城さんの影響は大きく、何かある度にいろいろなお話をお聴きすると、ざっくばらんに答えてくださって、とてもヒントになっています。ジム内で取り組めることはもちろん、オーガニックの本を出版されたときの考え方や、田舎と都会の反復横跳びの姿勢。そこから、ジム外でのラフティングや、サーフィンを用いたイベントを取り入れました。高城さんほど、世界中を、実際に、自分で行って、見ている人は少ない。その意味でもすごいと思うし、これからもお付き合いしていただきたいと思っています。よろしくお願いいたします」

Location: SONOYAMAJune 2012
Photo: Takeshi IjimaEditor: Takako Noma