身体の進化を楽しむ

Special Interview

身体の進化を楽しむ

麻布台クリニック理事長
髙田哲也

Deportare Club 代表
竹下雄真

11月にグランドオープンした麻布台ヒルズは、Green&Wellnessをテーマにした街です。人々が心身ともに健やかに暮らせるよう、ウェルネスにつながる仕組みを構築しています。デポルターレクラブも、パーソナルトレーニングジムとしてウェルネスの一翼を担い、医療機関である麻布台クリニックとの連携を実現。メディカルとウェルネスの両面から人々の健康管理をサポートする「Medical +Wellness Course(メディカル + ウェルネスコース)」を開発しました。今回は、麻布台クリニック理事長の髙田哲也先生と弊社CEOの竹下雄真との対談が実現。連携のメリットやコースの特徴などにについて聞きました。

―――麻布台クリニックさんとデポルターレクラブさんとの連携が実現したことについて、髙田先生はどのように思われていますか? 

髙田 私自身、医療機関とトレーニングジムの連携の必要性というのを感じていました。実は、私の中では、ずいぶん前からその構想があったんです。ですが、なかなか実現には至らず悶々としていた。そんななか、森ビルさんからデポルターレクラブさんというパーソナルトレーニングジムが同じ麻布台ヒルズに入ると伺いました。
竹下 森ビルさんは、医療機関と連携できるフィットネス関連のジムを探していて、それで弊社にお声がけいただいたのだと思います。僕らとしても、医療機関と組むことを前提に麻布台ヒルズへの店舗移転を検討していたときに麻布台クリニックさんのことをご紹介いただきました。
髙田 実際、竹下さんにお会いして、いろいろと意見交換をしていく中で、お互いのやりたいことが合致していることがわかったものですから、ぜひ一緒にやりましょう! と。実現できて本当に良かったです。
竹下 今回、我々が開発したメディカル + ウェルネスコースは、医師とトレーナーが尊重し合うからこそ実現できたと思います。



―――髙田先生は、どのような理由で医療機関とトレーニングジムの連携が必要だと考えていたのですか?

髙田 例えば、患者さんに「運動してください」と言っても、運動の習慣化はなかなか難しいものです。運動をしていたとしても、その方がどの程度の運動をしていて、その運動が逆に身体の負担になっていないかを我々が把握する事は難しいと感じていました。トレーニングジムと連携することによって患者さんの運動量を定量的に測定することができたら、医師としてより具体的なアドバイスができるようになるのではと考えていました。



―――長年の構想が実現したということですね。

髙田 デポルターレクラブさんの良いところは、クラブ会員の一人ひとりに専属トレーナーがつくパーソナルトレーニングジムだという点です。運動をするためにジムに行けば、専属トレーナーさんが週1〜2回、日々の変化を見てくれてアドバイスをくれる。これはとても意味があります。我々医療者というのは、患者さんとお話するのはせいぜい月に1回。正直、お話しできる時間もそれほど長くありません。我々が十分に得られない情報収集の時間を今回、トレーナーさんに担っていただけるのがメディカル + ウェルネスコースの利点だと思います。数字には表れない情報をトレーナーさんから提供してもらって医師が診察に還元していく。この仕組みは本当に素晴らしいと思います。
竹下 髙田先生がおっしゃるように、パーソナルトレーナーはお客様の情報をたくさん持っていると思います。お客様の健康管理をサポートするためには、食事や睡眠などの情報はもちろん、家庭や職場での問題や悩みなどいろいろな情報が必要だからです。ですから、我々は基本、“傾聴”を重んじています。トレーニングの合間も常に会話をして、とにかくお客様のお話を聞くことを心がける。趣味のゴルフの話もあれば、経済や会社経営のことなど話題はさまざまですが、どんな話題でもある程度の知識がないと会話になりませんので、うちではゴルフの研修なども行っています。

―――麻布台クリニックのホームページを見ると、ウェルネスを強く打ち出されています。ウェルネス実現のためにも、医師とトレーナーの連携が必要だったということでしょうか。

髙田 ウェルネスの実現には、医療と運動の連携は切ってもきれません。今、「人生100年時代」と言われていますが、自ら健康習慣を続けなければ、⻑寿は実現できません。医療費もますます高騰していますし、高齢化社会を踏まえ、病気になる前の健康管理と予防医療はとても大切だと思います。
竹下 ただ、一般的にはまだまだ浸透していないというのが実情だと思います。そもそもウェルネスの定義も曖昧で、簡単に言うと、“よく生きる”みたいなことですが、病気にならないとか、体力があるとかだけではないんですよ。アートを楽しむことも、自然を愛でることも、家族や仲間の存在も、よく生きるためには必要なこと。それぞれのウェルネスがあるではないでしょうか。我々は、メディカルとトレーニングの部分でウェルネスを担っていきたいと考えています。



―――メディカル + ウェルネスコースの特徴を教えてください。

髙田 通常の健康診断や人間ドックには含まれてない検査がたくさん入っているのが大きな特徴だと思います。アスリート向けの検査内容も用意していて、貧血は無くても鉄分の潜在的な不足をチェックしたり、症状は無くても心肺機能の異常を見つける検査を行ったり、より詳しい検査を実施します。ほかには、当院の院長が日本には非常に少ない爪を専門とする皮膚科医で、爪のトラブルや病気の治療にも力を入れています。運動をする人にとって爪は非常に大事で、爪が悪いとパフォーマンスが下がるので、気になる方はぜひ一度、受診していただきたい。また、皮膚がん検診も取り入れ、全身のほくろをチェックして、将来がん化しそうなものを見つけたら治療します。人間ドックに関しても、豊富なオプションを予め組み込んでいます。さらに、検査成績に基づいて、3か月ごとに個別のフォローアップ検査を行い、ウェルネス実現への道筋を、医師やパーソナルトレーナーとともに考えていただきます。
竹下 フルパッケージですよね。うちのジムでトレーニングをしているトップアスリートにも対応できる内容ですし、肩こりや腰痛などの慢性的な不調を改善したい方、病気の心配をしたくない方、アンチエイジングをしたい方など、健康や運動に関心のある方でしたらどんな方でも満足いただけるようなプランになっていると思います。

―――健康管理のフルパッケージのコースを麻布台ヒルズという一つの建物内で受けられるのが画期的ですね。

竹下 麻布台ヒルズに週1回でも来れば、健康を包括的、かつ継続的に担保できるというのは非常に大きなことだと思います。トレーニング自体もそうですが、病院に行くことや検査を受けることは、一般的に楽しいことではないと思います。健康管理のために必要だとはわかっていても、それを習慣化して続けていくのは本当に難しい。では、どうしたら皆さんが行くようになるのか? と言ったら、そのきっかけを作るのは、やはり人との約束だと思うんです。自分一人の決め事としてスケジュール帳に書いてもなかなか継続に繋がらないけれど、トレーナーやドクターと約束していたら重い腰を上げるはずです。人との約束が習慣形成のきっかけとなり、体質改善を継続して行うこができる。これは、メディカル + ウェルネスコースの大きなメリットだと思います。



―――今後の展望についてお聞かせください。

髙田 先ほども言いましたが、これまでは、医療がフィットネスの領域に踏み込むのはなかなか難しいことでした。それが今回、デポルターレクラブさんとの連携が実現したことで、今後は積極的に介入できるようになると期待しています。トレーニング効果を医学的に確認しながら生活改善のサポートすることで、皆さんの運動習慣のモチベーションを高めていきたいですね。
竹下 メディカル + ウェルネスコースを受けていただく方は、検診が楽しみになってほしいですよね。日々の食事や睡眠に気をつけながら健康を管理して、検査をしたらより自分がアップデートしていくようなイメージを持っていただきたい。検査で数値が少し悪くても、ドクターに医学的な対策を示していただければ、トレーニングプランの見直しができますし、運動内容や生活習慣の改善につながります。定期検診で病気の元凶を見逃さないということももちろん大事ですが、もっとポジティブに捉えて、自分のアップデートを感じられるようなものになっていくといいなと思います。

髙田哲也(たかだ・てつや)
医師・医学博士。医療法人社団なかよし会理事⻑(日吉メディカルクリニック・麻布台クリニック)、 医療法人社団侑芯会会⻑、医療法人社団こうかん会理事、慶應義塾大学医学部内科学教室特任助教。 1975年生まれ、神奈川県横浜市出身。慶應義塾大学医学部卒業。「多くの医師との連携を躊躇せず、 患者さんに安心の医療を提供する」をモットーに、外来診療や産業医活動を行いつつ、医療機関の経営にも携わる。「グッドドクター」「監察医朝顔2」など、メディアでの医療監修も多数。



竹下雄真(たけした・ゆうま)
会員制パーソナルトレーニングジム「デポルターレクラブ」代表。1979年、神奈川県茅ヶ崎市出身。トップアスリートをはじめ多くの著名人の肉体改造に携わり、ウェルネス以上、メディカル未満の領域で、クライアントの進化に日々携わる。 著書に『ビジネスアスリートが実践する最強のリカバリー術』(光文社)など他多数。