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Interview vol.5
諸橋寛子×竹下雄真

スポーツに感動する人が
たくさん住む国の未来は明るいと
私たちは信じています
『スポーツの持つ力』

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諸橋寛子(もろはし・ひろこ)
  • 一般財団法人UNITED SPORTS FOUNDATION代表理事
  • 公益財団法人 諸橋近代美術館 評議員
  • 一般財団法人 脳神経疾患研究所 理事
  • スペシャルオリンピックス日本・福島 副会長
福島県いわき市出身。2011年3月東日本大震災後、同年9月に設立された一般財団法人ユナイテッド・スポーツ・ファウンデーションの代表理事に就任。同財団は、スポーツを通して社会文化振興に対する貢献、スポーツ文化振興に対する貢献、将来を担う子どもたちに対する貢献を活動理念とし、現在は被災地を中心に活動を行っている。
UNITED SPORTS FOUNDATIONオフィシャルサイト
http://www.unitedsportsfoundation.org/

――― 諸橋寛子さんが代表理事をされている、一般財団法人ユナイテッド・スポーツ・ファウンデーションの活動内容と設立のきっかけをお教えください。

諸橋寛子さん(以下:諸橋)
「設立のきっかけは、東日本大震災です。震災当初、被災地に向け、さまざまな物資提供を行っている中で、日々のストレスとメンタルの疲れで、被災者の方々の表情が日々暗くなっていくのを感じました。そこで、外に出て、ボールを蹴って、じっと縮こまっていた身体をとにかく動かすクリニックを始めたのです。身体を動かすことで、少しずつでしたが、皆さんの表情が和らいでゆくのを感じました。その後、多くのアスリートやボランティアが駆けつけ、被災地に、徐々に笑顔が広がっていく姿に直面し、スポーツの持つ力を再認識したのです。

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2011年4月からは、地域におけるスポーツ振興へと活動の輪を広げました。一生、取り組んでいく必要がある活動だと実感し、一企業ではなく、継続的に大きな活動としていくため、2011年9月20日に財団を設立しました。
スポーツの持つ力がコミュニティを醸成し、国際交流を生み出し、結果的に、子どもたちをグローバルな人材に育成してくれます。また、多くの連携により経済効果へと発展させ、スポーツが本来持つ意義を社会において高めることで、さまざまな形で寄与していきたいと考えています。スポーツ振興が地域ごとに根ざしていくよう、現在は、エリアを限定することなく取り組んでいます」

――― 発足にあたり、さまざまなご苦労があったのではないでしょうか。

諸橋:
「震災当時は、考える時間もなく、切羽詰まった状態だったのが正直なところです。だからこそ、ボランティア、子どもたちへの声掛け、資金提供など、苦労というよりは、いつの間にか想像以上の力が出ていたという感じでした。スポーツが持つ力を最大限に活かすために何をしたらよいか、今ようやく、考える時間ができたのかもしれません」

竹下雄真(以下:竹下)
「スポーツを通じて、子どもたちからご年配の方まで、被災された方々を支援され、その後、財団を設立してさらに大きな活動にしていくというのは、すごいことだと思います。実際に、諸橋さんご自身も被災されたのではないでしょうか」

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諸橋:
「はい、被災しました。被災者として、家族、会社のスタッフとともに、さまざまな対応をしていました。私は、普段、それほどスポーツをするタイプではないのですが、運動することによって、子どもたちの目が輝いていくさまや、ご年配の方が元気になられていく姿を見て感動しました。
また、震災からしばらくして、身体が丈夫なことが自慢であった私自身が身体をこわし、健康でないと何もできないという事実にも直面しました」

竹下:
「スポーツのために貢献される方が元気じゃないと、周りへの影響も大きいです。諸橋さんには、常に元気でアクティブで動いていていただかないと、スポーツ界の発展のためにも影響が出てしまいます。イキイキと元気で、常に美しい女性でいていただくことをサポートすることが、僕にできることです」

――― たくさんあるジムの中で、諸橋さんが、デポルターレクラブを選ばれた理由はどんなところでしょう。

諸橋:
「はい。かなり、いろいろなジムを巡りましたし、通販で健康器具も買いました(笑)。そんな私が、デポルターレクラブを好きな理由は、変わろうとしているところ、改善、発展しようとするところ、一緒にトレーニングをしていて、竹下さん自身も、どんどん変化して、成長しようとするところです。
『こんな夢がある、次は、ああいうことがしたい』という、竹下さんの姿に魅了されたというのでしょうか。ただ単純に、マンツーマンでトレーニングをしているだけなら、人間ですから、いつかは飽きます。次の夢に向かってやりたいことを話していたり、竹下さんと同じように、変わろうとしているデポルターレクラブのスタッフと繋がっていることは刺激になります。
人は進化し、変わっていくものです。年齢を重ねて進化し続ける人が、これからの社会を作っていけますし、人間いくつになっても進化を続けなければならない。デポルターレクラブのスタッフが、常に進化をし続けているところがとても魅力的です」

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竹下:
「諸橋さんが、デポルターレクラブを辞める時は、僕たちの進化が止まったときですね(笑)」

――― 日本のアスリートやスポーツを志す子供たちをサポートするためには、何が必要なのでしょうか。

諸橋:
「社会的にも文科省の体力測定結果に表れているように、少子化や家庭ごとのスポーツ環境の違いで、スポーツをしない子どもたちも少なくありません。しかし、スポーツをしなくても、観たり、楽しんだり、感動を分かち合うことはできます。例えば、オリンピックの時のように、我が村の選手をみんなで応援したとしましょう。そこには、結束が生まれ、人間関係が築かれていきます。そうした中で、子供たちは人間の本質を見極める訓練を重ねることで、人間性の強い子どもへと成長していきます。日本という国にプライドを持てる、世界で通用する人間に、スポーツを通して育成することは可能です。子どもたちが、メンタルもフィジカルも強く、たとえ、相手が大国であったとしても、対等に渡り合っていける環境づくりにスポーツはとても重要だと思います」

竹下:
「そうですね。世界で公に戦えるのは、スポーツだけだと思います。優劣をつけて、勝負ができる。スポーツが弱ければ、国としても弱くなるというのは大げさではないかもしれません。サッカーも世界で順位をあげてきていますし、野球は二大会連続世界一です。チームとしても、個人としても、強くあることは、国としても重要。スポーツを目指す子どもたちが増えること、また、増やすことも大切ですね」

諸橋:
「だから、あこがれが必要なのです!竹下さんは、これから活躍するアスリートを一生懸命応援されていますよね。日本におけるアスリートの社会的地位は、欧米に比べ、経済的な面も含め、まだまだ充分とはいえません。もっと高めていくことで、子どもたちがあこがれ、夢を見てついていく。アスリート自身も、テクニックに加え、伝え方、教育法などを学びます。そのためには、引退後も文化人と同様の活躍の場が必要です。 財団は、人、モノ、ボランティア、資金など、団体や個人の協力が不可欠です。震災以降、ボランティアの意識は高まりましたが、一過性とならず継続していく必要があります。そのためにも、スポーツ選手の支援、子どもたちの環境づくりなど、新しい産業も生み出しながら、すべてが循環していくことを望んでいます」

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竹下:
「オリンピックの強化費は、他国に比べると満足なものではありません。また、金メダルを取ると油田がもらえる国などもありますが、日本は経済大国ではありますが、恵まれているとはいいきれません」

諸橋:
「そうですね。それに、スポーツだからこそ、できる外交もあるとおもうのです。国と国の間に、政治的な問題があることで、文化や経済に支障がでてくるのは悲しいことです。音楽やスポーツは、国境などすべてのものを超えた『共通言語』。スポーツのもつコンテンツはすごい力を持っています。
竹下さんは、トレーニング中に『ポジティブな流れで、身体が浄化されていく』とおっしゃられます。もしも、デポルターレに行っていなければ、こんなに流暢に話せてなかったかもしれません(笑)」

竹下:
「そうでしょうか(笑)。成功されていらっしゃる方は、ストレスなどが、常に普通の方とは違うレベルでかかってきます。それを、ある程度リセットする時間を持つことはとても重要です。スポーツトレーニングをしている間は、「売上」や「コンプライアンス」などを考える余裕が無い。考えない時間を、敢えて作るために、身体を動かすことは最適です」

諸橋:
「トレーニングの後、最初はひどい筋肉痛になりました。今では、激しいトレーニングをしても、筋肉痛にならないのが自慢です。『自分の身体をキープできていること=バロメーター』。週に1回、何も考えず、竹下さんの話だけを聞いてトレーニングを行う。人間ドックの結果を含め、食事など日常生活の注意点を相談する。 自分のことが分かっているという方ほど、分かっていないことが多いのではないでしょうか(笑)。運動や食事について、確実なアドバイスを行うプロであるデポルターレの存在によって、いろいろな人の身体が守られているのだと実感します」

竹下:
「僕の方が、教わることが多いんですけれど・・・(笑)。 お忙しい方ですから、トレーナーの立場として、諸橋さんの体調を客観視させていただけることで、元気で明るい、エネルギッシュな諸橋さんでいていただければと思います。 体調が悪くなったときも、どうしてこうなったかの原因が分かり、主治医やトレーナーとも共有するサイクルができれば、コンディションが保ちやすくなります。こうして、諸橋さんが健康でい続けてくださることで、ユナイテッド・スポーツ・ファウンデーションの活動のプラスになり、スポーツをする子どもたちの幸せに関わることができるのが、僕らの喜びです」

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――― 今後の展望をお聞かせください。

諸橋:
「30〜50年先に何をしているかは、考えていません。それよりも、1年1年、進化しながら、時代に合わせて変化した方針で進めていきたい。『不景気で資金が集まらない』、『景気が良いので資金は集まったが内容が薄っぺらい』ではなく、常に時代に合わせて、本質を見極めた活動に取り組み、毎年、できることを考えていきたい」

竹下:
「わかります。僕らはメソッドを持ちません。メソッドは古くなります。普遍的なものには、メソッドがないと思うのです。僕たちは、その人に合わせたトレーニングを行います。誰一人として、同じ人はいません。また、今の諸橋さんのトレーニングも、5年後の諸橋さんでは、環境もやることも変わっていますから、生理学上の基本はおさえますが、違うものになります」

諸橋:
「カスタマイズですね」

竹下:
「より進化、変化できるよう、世界中から良いものを探しています。来月は、僕はスリランカに、スタッフはアメリカに行きます」

諸橋:
「情報社会になり、ライフスタイルが多様化している人間に対して、同じメソッドはありえないかもしれませんね。個々人の悩み、ポジションや目的に対応してくださるトレーナーの方々は、どのようなトレーニングを作り上げるか、日々追求していらっしゃる。
こういう時代だからこそ、予防医学も含め、ケアしていただくことは必要ですし、していただけることは幸せです」

――― お互いに対して、今後、期待されることをお教えください。

諸橋:
「いっぱいありますよ!100個ぐらい(笑)」

竹下:
「では、ベスト3で(笑)」

諸橋:
「1つは、竹下さんの考え方、姿勢、人柄に共感していますし、トレーニングを通じて、素晴らしさを感じています。リーダーシップを持って、この世界を牽引する人になって欲しい。
2つ目は、今、行われていることが可視化され、具現化され、新しい産業を生み出し、認知され、経済効果も含め、多くの方々に評価されて欲しい。
3つ目は、今、ここにないものを作り出して欲しいと期待しています!」

竹下:
「僕は・・・(笑)。
お仕事関係はもちろん、諸橋さんのお人柄もあり、会食の機会が多いと思いますが、肝臓などの数値は、体型やコンディションとは別次元で表れてきます。ですので、時にはアラートを出させていただきます。諸橋さんのような方に倒れられると、スポーツ少年が持つ、夢の歩みが、今一歩、遅くなることもお考えいただきながら、常に健康で、今のまま、明るく、美しくいてください」

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Location: ゼビオアリーナ仙台October 2012
Photo: Takeshi IjimaEditor: Takako Noma