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Interview vol.17
ケリー×竹下雄真

体を動かしていると、
体だけでなくメンタルが変わっていく。
真に健康でハッピーなライフスタイルを
発信していきたい。

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KELLY(ケリー)ブラジル・サンパウロ出身。15歳で来日し、モデルデビュー。父は日系ブラジル人、母はイタリア系ブラジル人。ニベア花王などのテレビCMや、「ヨガジャーナル」(セブン&アイ出版)、「veggy」(キラジェンヌ)など多くの女性ファッション誌で活躍中。

竹下雄真(以下:竹下):
ケリーさんには、2015年の2月からデポルターレクラブをご利用いただいているんですよね。

ケリー:
そうですね、竹下さんにお会いしたのは、横浜で開催されたヨガイベントで『ヨガジャーナル』編集長を通じてご紹介を受けたのがはじめてでした。その頃、ヨガはやっていましたが筋トレというか体を鍛えるということはやっていなくて、ちょうどジムを探していた頃だったんです。すてきな空間だったので「ここがいい!」と思いました。

竹下 :
実は、ジムとヨガは西洋と東洋という違いがあり、先端と伝統、静と動というように対極にあるもの。我々は、その真ん中に健康や美があると考えています。さらに、その両方の要素が必要なのがスポーツや競技。そのため今は、デポルターレクラブでトレーニングをしているプロのアスリートも、野球やサッカーといった自分の競技のトレーニングメニューのほかにヨガを取り入れています。ケリーさんはヨガだけでなくキックボクシングもやっていらっしゃる。そうやって、自らバランスのいい状態でトレーニングをセレクトしているのがプロだなと思いました。ヨガはいつからやっているのですか?

ケリー:
12年くらい前からです。10代の頃で、当時は体を動かすことが好きではなかったので、ジムに行っても続きませんでした。それで、まずキックボクシングを始めたんです。キックボクシングには新しいものを自分に吸収するおもしろさがあって、続けられました。それが慣れてきた頃に、また新しいことをやりたいと思ってヨガの体験レッスンに。当時はまだヨガがメジャーではなかったので、「ヨガって何?」とまったくの無知だったのですが、やってみたらこれまでにない感覚に驚いたことを覚えています。ポーズも初めてのものばかりだし、「呼吸に合わせて動く」というのを意識したことがなかったので、体の内側がすごく新しい感覚になりました。そこからヨガにはまってしまい、最初の2年くらいは家でもスタジオでも、とにかく毎日やっていましたね。

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竹下 :
ヨガを始めてから、何か変化はありましたか?

ケリー:
心が穏やかになりました。ブラジル人なので基本的にはアグレッシブなのですが(笑)、感情の起伏が激しく、アップダウンの落差が大きかったのが、ヨガを始めてからとても落ち着きました。私の場合、ダイエットにいいとか姿勢がよくなるとか、ヨガの効果を知らないで始めているので、自分の内面から変わった気がしています。今はヨガ、ジム、キックボクシングといいペースでできているのですが、心と体のバランスが取れるようになったせいか、やさしくなりましたよ。

竹下 :
その状態でお会いできてよかったです(笑)。

ケリー:
ヨガを始めた直後はストイックにやりすぎていて、「ヨガをやる人はお肉を食べたらいけない」からと、ベジタリアンになりましたし、きれいなポーズに固執するなど、とにかくストイックでした。今は、形にとらわれることや「できなくて悔しい」と途中でやめてしまうということ自体、ヨガではないなと思えるようになりました。

竹下 :
もともとインドでヨガは修行として行われていたものですから、思想や流派がありますが、僕は何事も「過ぎてはいけない」と思っています。善悪もそうですが、善過ぎてもよくない。ヨガやトレーニングに対して、「善」過ぎる人が「こうあるべき」という道から外れてしまう、または毎日行っていたヨガを休んでしまったというようなことで、自分が許せなくなってしまうことがありますが、それは過ぎてしまっている。もちろん「悪」過ぎてもだめですが、どちらにも行き過ぎないように、自分が真ん中でコントロールするというイメージがいいと思います。ケリーさんは、ストイックな時期も経て今はいい感じでバランスがとれているようですね。

ケリー:
そうですね。その人にとって、それぞれのヨガがあっていい。私にとって「これがヨガ」と思えればいいし、もともといろいろなヨガがありますから、みんな違っていい。

竹下 :
僕はヨガに関しては素人なんですが、どうしたら、自分のヨガを見つけられるでしょうか?

ケリー:
自分と向き合うことですね。今自分が何をしているか、何をしたいか、気づきが大切。自分と向き合ってみると自分のいいなと思うヨガが見つかると思います。自分と向き合う時間そのものがヨガともいえるかもしれません。

竹下 :
今のお話を伺って、改めてヨガはアスリートにも最適だと思いました。デポルターレのメンバーには、プロ野球のローテーションピッチャーもいます。プロ野球の試合では、先発をだいたい中6日で回すので、次の登板まで1週間弱間隔があくわけです。例えば試合の結果がよくなかったときは、何万人という観客に晒される訳ですから落ち込みますよね。でも落ち込んだままではいられないから、ヨガで自分と向き合うことでメンタルを落ち着かせて、次の準備をしていく。運動生理学的には、骨盤や胸骨などのアライメントはもちろん、汗をかくことにより疲労物質がとれるという効果がありますから、メンタルにもフィジカルにも、自分を整えられるヨガはトレーニングとして非常に効果的だと思います。

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ケリー:
それにデポルターレのヨガは、環境がいい。スタジオだけでなく外のウッドデッキで桜の木のもとでヨガができるなど、都内のほかのスタジオでは味わえない特別感があります。癒されますね。

竹下 :
ありがとうございます。ケリーさんは、ヨガだけでなくジムでのトレーニングもかなりハードにこなされています。90分のサーキットトレーニングをやるというのは、モデルというよりアスリートのメニュー。高いレベルでの話になりますが、ケリーさんの場合、お腹の力がふっと抜けてしまうことがあります。きつい動きになってくると体幹がうまく作動しない。それがトレーニングを始めてからピシャッと決まるようになってきたので、ヨガやキックボクシングのパフォーマンスのアップが期待できます。もちろん、ショーのウォーキングなど、モデルの仕事にも有効です。

ケリー:
芯ができたというか、ブレないようになった感覚はありますね。疲れてくると力が抜けやすいのですが、そのときに意識して保つことができるようにもなりました。90分のトレーニングは、最後はヘトヘトで動けないほどハードですが、それぐらいやったほうが満足感や達成感があります。先日キックボクシングに行ったんですが、30分間体幹などのフィジカルトレーニング+30分のキックボクシングでは、物足りなくて(笑)。もっとやりたい! と思ってしまいます。

竹下 :
先ほどの話じゃないですけど、「過ぎる」とよくないですよ(笑)。

ケリー:
自分でここまでしかできないと決めてしまうと次のレベルに届かないというか、限界を超えるのが楽しいんです。

竹下 :
プロの選手でも、放っておいたらずっと練習してしまうタイプがいます。もちろん良い面もありますが、ケガのリスクは高まりますし、もっと言うと「バーンアウト」といって燃え尽きてしまう、つまり「もうやりたくない」という気持ちに陥ってしまうこともあります。そういう意味では、我々パーソナルトレーナーを活用していただきたいですね。ケリーさんの場合は、最近の仕事の状況、キックボクシングやヨガの状況、食事のことなど話を伺って、トレーナーが最善のメニューを組み立てていきます。やり過ぎかどうかは自分では判断しにくく個人差がありますから、ご本人の満足感やフィジカルのレベルを総合的に判断します。ただ、ケリーさんは食事も自分で管理できる方なので、こちらからのアドバイスとしては「過ぎないように」というところだけですね。先ほど、10代の頃は体を動かすのが嫌いだったとおっしゃっていましたが、いつから楽しいと思えるようになったんですか?

ケリー:
10代の頃は本当に運動が嫌いで、体づくりもしていませんでした。モデルを始めたのが15歳くらいだったかな、当時は全然お仕事がなくて、事務所からは「やせないから仕事が来ない」と言われていました。1週間に一度は体重を報告しなければいけないし、撮影のときに「今日はケリーのパンツがしまらなかった」というクレームが事務所に入ったこともありました。モデルは細ければ細いほどいいという時代でしたから、自信もなくすし、自分らしさを出せないし、ますます悪循環ですよね。そういうときにキックボクシングやヨガといったスポーツをやることで、体が変わるのはもちろんですがメンタルが強くなったという経験があります。体を動かすことや食事を変えることで、気持ちが変わるというか自分が変わるという実感が、運動好きに変わった大きな理由だと思います。今はランニングもしますし、体を動かしていないと気持ち悪いくらい。

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竹下 :
心と体はつながっていますからね。しっかり体を動かすことと、いいものを食べることができていないと、体だけでなくメンタルが下がってしまいます。体を動かさないで食事制限だけでダイエットをしても、一時的にやせますが心はきれいになっていないから、結局リバウンドをしてまた無理なダイエットをするという繰り返しになってしまいます。それが、ケリーさんのように「体を動かすことが楽しい」となれば、食べるものも変わるし、自然にきれいになっていくと思います。

ケリー:
美しさというのは、内側からにじみ出るものですよね。その人の内側からオーラやいいエネルギーを感じられることだと思うし、魅力的な人というのは、ものすごく努力をしてきた人だと思います。モデルという職業は、ハッピーなオーラがないと、それが写真から伝わってしまいますからね。

竹下 :
若い女性が雑誌を見て、ハッピーオーラのないモデルさんに憧れを抱いてしまうと、同じようにハッピーじゃない生活をしてしまう。それこそ、体形だけを真似して無理な食事制限をしたりね。そうやって世の中がハッピーじゃなくなるような伝播はよくありません。体形だけでなく、ライフスタイルまるごとというか、体を動かす楽しさや食事の大切さを含めて伝えられるモデルさんが増えるといいですよね。ケリーさんはそのオピニオンリーダーになれる人だと思います。今後はどのような活動を予定されているのですか?

ケリー:
今はヨガの講師になるべく勉強中です。食の大切さも実感しているので、ローフードの資格も取得したのですが、自分のフィーリングや声を聞いて、興味のあるものにどんどんチャレンジしていこうと思います。もちろん、モデルの活動をしながら、良いものをみんなに伝えていきたいし、どんどんシェアしていきたいと思っています。

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竹下 :
「今流行りだから」ではなく、真に健康でビューティなライフスタイルを、ケリーさんからどんどん発信してほしいと思います。心も体もきれいな女性が世の中に増えれば、男性ももっとがんばって働こうという気になりますからね!

Location: コートヤードHIROOApril 2015
Photo: Yoshiki HaseEditor: Akiko Yamamoto