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Interview vol.22
フアン・エスナイデル×竹下雄真

相手より多く走り、相手より速く、相手より強く、持久力もあって頼れる、怪我しない選手を作って欲しい。

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フアン・エスナイデル(Juan Eduardo Esnáider)1973年3月5日生まれ。アルゼンチン・ブエノスアイレス州マル・デル・プラタ出身。アトレティコ・マドリードなどで活躍した元サッカー選手、現サッカー指導者。Jリーグ・ジェフユナイテッド市原・千葉監督。現役時代のポジションはフォワード。

ジェフユナイテッド市原・千葉×デポルターレクラブ
トレーニングプログラム始動!

2009年シーズンを最後にJ1の舞台から遠ざかっている、ジェフユナイテッド千葉。8年ぶりJ1昇格に向け、今オフシーズンよりデポルターレ・クラブが全面的なトレーニングサポートをスタートします。Jリーグのみならずプロスポーツ界初となる試みに先駆け、新たにジェフの指揮官に就任したフアン・エスナイデル監督と、デポルターレ・クラブ代表の竹下雄真が対談を実施。選手、監督として欧州のトップクラブを知るエスナイデル監督に、話を伺いました。

ー ジェフの監督に就任し、日本にいらっしゃってまだ1週間ほどですが、ここまでのチームの状況はいかがですか?

フアン・エスナイデル監督(以下:エスナイデル監督)
ビデオでしか見たことがなかった選手を実際に見て、ここで改善できたことも多いと思います。選手に対してもクラブに対しても、ここまでは満足しています。

竹下雄真(以下:竹下):
僕らはサッカー専門の人間ではないですが、色々なスポーツを見ている中で、サッカーというものの強みと弱みが見えると考えています。サッカーだけを見ているとなかなかブレークスルーできなくても、他の競技と比べることでブレークスルーできることもあると思います。今のところは大きな怪我もなく、良いトレーニングができていると思います。

エスナイデル監督:
今日はかなり深い話をしましたね。色んな観点で意見を共有できることを、本当に嬉しく思っています。今ここで何をやったという結論を出すのはまだ早いけど、今のところはうまくいっていると思います。

竹下 :
監督が日本に着かれて、すぐホテルに会いに行って、ビュッフェを食べながらたくさん話し合いができました。世界の舞台で戦ってきた方と、こうやってお仕事できることを光栄に思ってます。

エスナイデル監督:
ありがとうございます。選手の反応を見ていても、良いものが得られていると感じます。練習の方法は今までにはなかったもので、選手もよくついてきてくれている。今は選手たちも少し疲れていますが、また1月から練習がはじまるときは、もっとフレッシュな状態で臨めるはずです。

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ー 海外のサッカークラブで、このようにスポーツクラブとコラボレーションしてトレーニングを行う、というケースはありますか?

エスナイデル監督:
いいえ、ないですね。

竹下 :
レスリングやヨガなど色々なプロフェッショナルを連れてきていますが、監督には「一体何人のプロフェッショナルがいるんだ?」と言われました(笑)。

エスナイデル監督:
僕にとってもすごくフレッシュなことですし、良い結果になることを望んでいます。今もできているけど、これからもやり続けたいと思うのは「お互いに本音で話すこと」ですね。

ー 日本人はよく「本音で話す」ことが苦手、と言われます。

エスナイデル監督:
ミーティングが多いのは、そうでしょうね(笑)。こっちに来てから毎日、何かしらミーティングがあるので(笑)。まあ、慣れますよ。僕が育ってきた国というのは短気な国だから、もう少し我慢をすることを覚えます。ヨガをたくさんやって(笑)。

竹下 :
監督が僕らに一番望まれていることは何でしょうか?

エスナイデル監督:
相手より多く走り、相手より速く、相手より強く、持久力もあって頼れる、怪我しない選手を作って欲しい。以上。

竹下 :
とてもイージーです(笑)。

エスナイデル監督:
簡単ではないけれど、それが理想ですね。良い準備をしてもらえれば、私のやりたいサッカーもよりできるようになる。サッカー選手はまず、アスリートでなければいけない。そしてプラスアルファで、足の技術がなければいけないんです。

竹下 :
まだトレーニングを開始して10日くらいですが、僕らの想像以上に選手たちが良くなってきていると感じます。数値も上がってきているし、これまでは「トレーニングする」という意識があまりなかったのが、少しずつ浸透してきていると思います。

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ー 日本のサッカーは「フィジカルが弱い」「体が小さい」から勝てない、とよく言われます。これについて監督は、どのようにお考えですか?

エスナイデル監督:
サッカー自体を見ていると、選手は速いし、瞬発力も高いし、ヨーロッパと比べてそこまで劣っているとは思いません。練習の仕方、プレースタイルの違いはあるかもしれませんが、フィジカルに関してそこまで劣ってるようには見えないですね。ただ、選手個々のスピードというより、試合の運びという点で、ヨーロッパの方が少し速いかもしれません。

竹下 :
メンタリティについてはどうでしょうか?かつての監督のように、世界のトップレベルでプレーする選手たちはどのような気持ちでサッカーをしているのでしょう?

エスナイデル監督:
メンタル的に準備ができている選手が、結果的に上にいくのだと思います。頭はすごく大事です。パフォーマンスの80%くらいはメンタル面ではないでしょうか。どれだけコンディションが良い選手でも、頭とハートがついてくることが一番重要。メンタルをコントロールできて選手が、結果として遠くまで行けるのだと思います。

竹下 :
僕も選手たちに接するとき、心と体はつながっている、どちらかがダメでもダメだ、と伝えています。メンタルをコントロールする方法のひとつがヨガだと思いますが、海外のサッカー選手でヨガを習慣にしている選手などはいるのでしょうか?

エスナイデル監督:
いいえ、ほとんどいないと思います。

竹下 :
逆に、メンタルトレーニングとしてはどんなことをしますか?日本だと、座禅を組んだり、滝に打たれたり、そういうものがありますが。

エスナイデル監督:
トレーニングというよりも、普段の会話の中でよく話し合ったり、良かったことを良いと伝えたり、そうしたコミュニケーションが重要だと思います。もちろんヨガはヨガで、私にとっては新しい発見です。ここで良い結果がでたら、ヨーロッパでもやりますよ(笑)。

竹下 :
ドイツのナショナルチームには、ヨガの先生が帯同しているそうです。ヨガ中の脳波のログをとると、やはりメンタルが落ち着いたり、リラックスしたりする効果があるんです。だから僕らは、リカバリーの方法として取り入れたいと思っています。

エスナイデル監督:
良いと思います。僕は好きですよ。選手を見てても、真剣に取り組んでいるのがわかります。

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竹下 :
監督くらい実績があると、自分の国よりも競技レベルが高くない国で、新しいものを取り入れたり、話を聞くというのはなかなかできることではないと思います。それができる監督のメンタリティは、どこで培われたのでしょうか?

エスナイデル監督:
私は17歳でスペインにいって、多くのことをひとりで学ばなければならなかった。18歳で父になって、家族と一緒に色々なことを吸収しなければいけない状況下に置かれてた。ヨーロッパの6か国にも住んだし、僕は定住はしないタイプの人間なんだ。色々なところ、新しい環境に行くのは慣れているんです。アジアは初めてだけど、家族も日本に来たいと言ってくれているしね。

ー 今後に向けて、どのようなビジョンをお持ちですか?

エスナイデル監督:
まずは良いプレシーズンを送って、開幕戦に勝つ。今のところは、それだけです。

竹下 :
僕らはやっぱり、開幕のピッチに良い状態で立ってもらうこと。それが僕らの仕事です。来年の今頃も良かったと思えるよう、頑張ります!

エスナイデル監督:
パーフェクト!

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Location:United Park December 2016
Photo: Yoshiki HaseEditor: Muneharu Uchino