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Interview vol.6
間野義之×竹下雄真

信頼できる仲間がいる
『競争よりも、協調・協同』

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間野義之(まの・よしゆき): 1963年横浜市出身。1991年3月 東京大学大学院教育学研究科修士課程修了。 現在、早稲田大学スポーツ科学学術院教授。 研究分野: スポーツ政策論。マクロでは政府(中央、地方)のスポーツ振興方策。 ミクロでは、スポーツクラブ、スポーツ施設やスポーツ組織のビジネスマネジメント。 座右の銘: やる気こそ、人生の宝なり。 2011年6月、一般社団法人日本アスリート会議を発足。代表理事(理事長)を務める。 主要著書:『スポーツの経済学』池田勝・守能信次編著、杏林書院、1999(分担執筆、執筆幹事)、『スポーツの統計学』大澤編著、朝倉書店、2000(分担執筆)
・早稲田大学スポーツ科学学術院 間野義之ゼミ スポーツ政策研究室
  http://www.manosemi.net/
・一般社団法人日本アスリート会議
  http://www.jathlete.jp/

――― 間野先生に教わるきっかけは、何だったのでしょうか?

竹下雄真(以下:竹下)
「現場の視点だけでなく、クラブマネジメントを論理的に学びたいと考えていたとき、知人から、間野先生を紹介していただきました」

間野義之教授(以下:間野)
「竹下さんは、都心のビルの中で機械的にトレーニングするだけの箱型ビジネスに頭打ちを感じており、自然も活用したこれからのスポーツクラブのあり方を模索していた。『勘・経験・度胸』に加え、データ・事例・科学的裏付けのある、新しいビジネスモデルを必要としていたところに、僕自身、面白いと興味を持ちました」

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竹下:
「おっしゃられる通りで、それまでは『勘・経験・度胸』。間野先生のゼミには、新しいスタイルのクラブへ取り組むための要素が詰まっていて、とても惹かれました」

――― 具体的には、間野ゼミではどのような研究をされていたのですか?

竹下:
「僕が実際トレーニングを見たクライアントのトレーニング前後の変化や、トレーナー自身の意識の持ち方や持たせ方に対応した数値検証などです」

間野:
「トレーニングをする側が持つトレーニングイメージと、トレーナー側との違い、competency(コンピテンシー:高業績者の行動特性)を、心理尺度を使って計量するなど、さまざまなことに取り組みました」

竹下:
「今までにない経験ばかりで、恥ずかしながら論文発表では答えられなくなる場面もありました。
また、修士課程修了と同時にジム立ち上げでしたから、資金調達、顧客の集約や立ち上げ準備と論文執筆が重なり、修了単位について、先生に相談したりもしました。論文執筆は普段とは全く違う作業で、別の努力が必要で大変でした・・・」

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――― 学業と新規事業の立ち上げを同時並行で行った方は、他にもいらっしゃいましたか?

間野:
「竹下さんが初めてだと思います。
うちのゼミは、『スポーツを通じて日本を変える』をテーマに、社会人が、平日夜と週末を使い1年間かけて学びます。20歳の学生が社会で活躍するのに20年かかるところを、即戦力で実行できる人を育てたい」

竹下:
「同期には、ゴルフ場の経営者やクラブチームのオーナーなどスポーツの世界で成功した方も多く、事業化するうえで必要な経営視点でのアドバイスを頂く機会も多くありました。そういったことがなければ、ジムも今の形になっていなかったかもしれません」

間野:
「仲間は、大切だね。
うちのゼミでは、仲間同士が生み出すパワーにも重きを置いています。ゼミ内での競争は一切しない。学びの中から、人のネットワークが生まれる。利害関係もない、年齢も異なる、同じ釜の飯を食った仲間は一生の財産です」

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竹下:
「ゼミ合宿では、社会的な立場など全く関係なく、全員が同じ軍隊のような二段ベッドで寝ます。なかなかできない経験でした(笑)」

間野:
「世界で活躍している方であっても、全く同じ環境で過ごします(笑)」

――― 先生は、様々な活動をされているようですが

間野:
「『一般社団法人 日本アスリート会議』を、震災後立ち上げました。全国各地のアスリートたちが競技を超えて集い、被災者を励ます活動をはじめ、社会貢献、NPOとの連携、アスリートが活躍する場の提供に取り組んでいます。
そのアスリート達を支えるトレーナーも重要なパートです」

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竹下:
「はい、頑張ります」

――― 『一般社団法人 日本アスリート会議』では、今後、どのような活動をされるのですか?

間野:
「2012年ロンドンオリンピックに出場した日本のアスリートは293名、うちメダル獲得は約80名。この選手全員が、現役を続けていくのは厳しい。
セカンドキャリアの訓練を行い、地域の子どもたちに教え、未来の強いアスリートを作り出す"循環ビジネス"を生む、社会の受け皿づくりが必要とされています」

竹下:
「会社でデスクワークを行う環境と、青空の下、日々トレーニングに取り組むアスリートでは環境があまりに違う。セカンドキャリアは、スポーツを通じて、地域や教育に貢献できるのが理想ですね。 僕は父でもあるので、自分の子どもに、プロの経験を積んだアスリートに教わる機会を与えたいと思う」

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間野:
「2011年制定の『スポーツ基本法』に基づき、2012年には『スポーツ基本計画』が施行され、社会も政府もスポーツへの取り組みを強化しています。そのためにも、東京オリンピック・パラリンピックの招致活動にも注力していきたい」

竹下:
「実際、ロンドンオリンピックに行き、いろいろな国の人が街中にいる環境は素晴らしいと感じました。 東京オリンピックを経験された先輩方も、当時のことをワクワクして語ってくださいます。文化交流も含め、スポーツでないとできない経験だと思う」

――― 最後に、お互いにメッセージを・・・。

間野:
「竹下さんのジムにこられる方は、世の中への影響力が高い。『スポーツを通じて日本を良くしていこう』という想いや『自分がスポーツを通じて健康になると、まわりも良くなる』というDNAを伝えて欲しい。 スポーツは、遊びや娯楽ではなく、人生の中で極めて大切なことだということを、発信できる環境を作ってほしい」

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竹下:
「とても大事なことなので、先生の活動の一環として、何かしたいと思います」

間野:
「それと、・・・少し心配しているのは・・・。
成長しているときこそ、脇をしめること。謙虚に、堅実に、新しいことに取り組んでもらいたい」

竹下:
「僕は、子供の頃から身体が大きく、ガキ大将の生き方をしてきました。
そういうことを言ってくれる方は貴重で、感謝しています。
厳しく長い道のりになるでしょうけれど、僕は先生みたいな人になりたいですね」

間野:
「光栄ですね、ありがとう。・・・毎日、飲まなくちゃいけないから、大変だよ(笑)」

竹下:
「毎日、ビールを飲むところから始めます(笑)」

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Location: 早稲田大学November 2012
Photo: Takeshi IjimaEditor: Takako Noma